Encontros
黒田鈴尊、尺八演奏者(文化庁文化交流使)
Publicado por FJSP em 07/11/2019
「古い、おじいちゃんの楽器というイメージを変えたい」
7月2日と3日は文化庁文化交流使で尺八演奏者の黒田鈴尊さんがブラジル・サンパウロ市で公演会とワークショップが行われました。
公演会ではスペシャルゲストとしてブラジルの尺八演奏者シェン・リベイロ とアコーディオン/ピアノ演奏者のガブリエル・レヴィと共演しました。日本の伝統的音楽だけではなく、尺八でブラジルの曲を演奏されたことには観客も驚きを隠せずに、最後はスタンディングオベーションで公演会は無事終了しました。
後日のワークショップではレクチャーコンサート的な方法で行われ、黒田さんは古典本曲~3つのスタイル~と現在進行形の本曲と開発されている新技法を紹介されました。参加者は全員尺八の経験者でそれぞれ自身の楽器を持って参加しました。参加者は半円形に座り、年齢、経験や流派もバラバラでしたが黒田さんのレクチャーを真剣に聞いて演奏していました。
尺八に出会ったきっかけは?
幼少よりずっとピアノを学んでいましたが、武満徹作曲「November Steps」を聴いた事が契機となり20歳で尺八に転向。そこから尺八演奏者としてプロをなることを目指して、人間国宝・青木鈴翁、三代青木鈴慕各氏に師事しました。
尺八は大変難しい楽器のイメージと聞きますが、どう思いますか?
尺八を覚える難しさは、フルートや他の楽器と同じぐらい難しいです。ただ、尺八は原始的なところがあり、シンプルだけどその分無限の可能性を秘めていると思います。
もちろん、ピアノの経験もあったから尺八を覚えやすかったのかもしれません。
ブラジルの音楽はどのように知ったのでしょうか?
実はDJをやっていた時期がありまして、実際に今でも年に一回は行なっていますが、世界中のいろんな曲を聞いていたら、好きな曲が何曲かありまして、その中にはブラジルのミュージシャンの曲があったので、そこからブラジルの曲を好きになりました。
文化交流使はどのようになれたのか?
文化庁から指名を受け、その後に面接や審査を受け、それから文化交流使として選ばれました。
ここサンパウロでブラジルの曲を尺八で演奏したことに関してはどう思われますか?
ずっとブラジルの曲をブラジル人の前で演奏するのが夢でした、それが叶って本当に嬉しいです。日本だとPixinguinhaとかはあまり知られてはいないので、ブラジルに来てホテル のロビーとかでPixinguinhaを聞いたことで、ブラジル人にとってはショーロなどが身近なものなのだと感じました。逆にブラジルの皆さんに私の演奏を聞いた感想を聞きたいです(笑)。
あと、公演の最後にスタンディングオベーションにはすっごく嬉しかったです。
今回、シェンさんとガブリエルさんと共演したことについてどう思われますか?
シェンさんは私の大学の先輩なので、一緒に共演できて大変光栄に思います。ガブリエルさんも一目見ただけですごいミュージシャンだと感じまして、こんな素晴らしい二人のミュージシャンと演奏できて大変光栄に思っています。
また二人と日本で共演できる可能性があるので大変嬉しい気持ちです。
ブラジルの印象は?
ブラジル人はすごく音楽が好きだなあと思いました。あと、ブラジルにいる間はグラフィティーに非常に興味を持ちまして、徒歩2時間以内の場所であれば、歩いてその場所まで行って、グラフィティーアートの写真を撮っていました。
最後に、黒田鈴尊さんが文化交流使としての使命とは?
世界の人々の日本文化への理解の深化はもちろんですが、尺八の新しい技法などを多くの人に見せることで、「古い、おじいちゃんの楽器」というイメージを崩しして、多くの人に尺八の無限の可能性を知っていただければ、その場所での文化交流史として指名は果たせたと思います。
黒田鈴尊
1983年福島県生まれ。東京都出身。
幼少よりピアノを学ぶ。武満徹作曲「November Steps」を聴いた事が契機となり20歳で尺八に転向。人間国宝・青木鈴翁、三代青木鈴慕各氏に師事。
早稲田大学人間科学部、東京藝術大学音楽学部卒、同大学院修士課程修了。
NHK邦楽オーディション合格。NHK FM”邦楽のひととき”に独奏で出演。
第2回利根英法記念邦楽コンクール最優秀賞受賞。
国際尺八コンクール2018 in London優勝。
NHK・Eテレ「にっぽんの芸能」出演。
アンサンブル室町(第13回佐治敬三賞受賞)、邦楽四重奏団(NHK FM邦楽のひととき出演。1stCD「野田暉行邦楽作品集」は”レコード芸術”2016年12月号にて特選盤、”音楽現代”2017年1月号にて推薦盤を獲得)メンバーとして数多くの新作を初演し続けている。
CAPCOM「大神 五重之音調」CD録音他、TV、ラジオ等に音源提供多数。
2014年、韓国・百済文化祭にて朴範薫作曲の尺八協奏曲「流」のソリストを務め、自作カデンツァを含むその演奏が好評を得て、同年公州にて再演。
2015年、山本和智作曲の尺八協奏曲「Roaming liquid for shakuhachi and orchestra」を東京・神戸で世界初演。
2016年にはベルギー・Ars Musicaにコンチェルトのソリストとして招請され、武満徹作曲「November Steps」や、Claude Ledouxの新作尺八コンチェルト等を世界初演のほか、ソロコンサートが開催され、好評を博した。2016年より毎年東京にて完全無伴奏の一人舞台”独演会 Rei-sonic Theater”を開催。(主催/東京コンサーツ)
2017年邦楽四重奏団i n New York(by Asian Society/Japan Faundation)にてスタンディングオベーションの喝采を博す。
2018年第23回くまもと全国邦楽コンクールにて優秀賞受賞。
Asian Composers Showcase/Tongyeong Int’l Music Festival に出演。
ロンドン尺八フェスティバルに招聘演奏家/講師として参加。
その他アンサンブル・ノマドや作曲家の会「環」等にも出演。
自主企画として同世代の作曲家への委嘱作品を集めたコンサート”尺八の領分”を開催するなど、”尺八の今と無限の可能性”を追求している。
2018年10月16日東京オペラシティ主催の名物リサイタル”B→C”に出演予定。
鈴慕会、日本三曲協会、足立区三曲協会、文京区三曲協会 各会員。
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